インターネット住まいのガイド

大事なのは料理のレパートリィか家族とのコミュニケーションか

2011.12.16

主婦は一般にお料理好きでも、自分が家族から孤立しないオープンまたはセミーオープンーキッチンを好む傾向が強いからだ。居間、食堂に開かれた厨房は、かつてのように単なる食事の準備作業の場ではなく暮らしと一体の場になっている。つまり厨房が人目に触れにくい楽屋から暮らしの表舞台に昇格したわけで、このこと自体は歓迎すべき傾向であろう。しかしこの昇格は厨房の機能を制約もする。言い換えれば、楽屋なら汚してもいいが、舞台はある程度きれいに使わなければならない。

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ところが、一万二〇〇〇キロカロリーは油も飛ぶし、調理熱、調理臭も大きいなら、そうきれいには使えない。ここに矛盾が生じる。ある住宅の設計中に、この問題にぶつかって悩んだことがある。お料理好きの夫人が業務用バーナーを新居のセミーオーブンーキッチンに備えたいと言い出したのだ。セミーオーブンという選択は、まだ幼い子供たちの顔を見ながら調理や後片付けをしたいためで、それはそれで正しいのだが、ボワッーとは両立しない。そうお話ししたら、幸い頭のいい方なので問題点はすぐ分かった。しかし分かってしまうと、業務用バーナーを優先して厨房を別室にするか、家族との交流を優先して強火の調理をあきらめるか、どちらかしかないので、ご本人は私以上に迷い悩んだようだった。この問題は意外なことから解決した。夫人の実弟がたまたま本格的な料理好きで「お姉さん程度では業務用バーナーは無理だよ。料理のレパートリイを増やすより家族とのコミュニケーションを大事にすれば」と言ってくれたからである。