インターネット住まいのガイド

団地での一棟だけの建替え

2011.11.04

神陵台東住宅は明石海峡を臨む高台にあり、一九七〇年に兵庫県住宅供給公社が開発した一四棟、四八〇戸からなる典型的な団地型マンションである。丘陵地に開発した団地型マンションは、同じ団地内に、建物によって丘を切り取った元の地盤に建つものと、盛土をして造成した場所に建つものがある。神陵台東住宅の場合、53号棟は中央幹線道路に面した北側の隅に位置しており、擁壁で支えられた盛土の部分に建っていた。構造は工場で成型したコンクリートパネルを現場で組み立てるPC造で、三つの階段室のそれぞれ両側に住戸がある五階建ての建物であった。

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激震によって53号棟が接する中央幹線道路側の擁壁に亀裂が入り、地盤の一部が陥没した。それと同時に建物全体が西側に傾斜し、中央の階段室が陥没したことで住戸の床が傾斜するなどの大きな被害を出した。PC造の場合、コンクリート製のパネルとパネルがしっかり接合していることによって建物全体を支えているので、コンクリートパネルが一部でもはずれると建物全体にゆがみが生じる。53号棟以外の棟でも被害がなかったわけではないが、53号棟は地盤が陥没したことによって被害が大きくなったのである。53号棟に居住する三〇戸の住民は被災後ほどなくして会議を開き、一回目には二人の建替え反対者があったが、二回目には全員一致で建替えの方向で復興することを決めた。しかし、団地型マンションの場合、単棟型のマンションとは異なって、一棟だけを建替えるのにはたいへん複雑な手続きを必要とする。そういった意味合いでも、この神陵台東住宅53号棟の建替えは、今後の地震による団地型マンションの災害とその復興に貴重な教訓を与えることになった。